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http://www.sisolar.co.jp/2016/04/08/post8255/
「出力制御ルール」の変更
2015年1月26日に再エネ特措法が改正され、太陽光発電の「出力制御ルール」も変更されました。「出力制御ルール」と聞いても大抵の方は分かりません。普段の生活にはなじみのない言葉ですが、北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力の地域で太陽光発電システムを導入した人やこれから導入する人達にとっては不安の種になっています。
「出力制御」とは何か
「出力制御」とは、電力会社が発電設備からの出力をコントロールする制度です。実は発電した電気は貯めておくことが出来ないので、その都度消費しています。使う量(消費)と作る量(発電)を常に一定に保つのも電力会社の大切な役割の一つです。需給バランスを保つことで、安定した電力を供給しています。しかしこのバランスが崩れてしまうと設備への悪影響があるだけでなく、大規模停電が発生する可能性があります。
太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーで発電された電気は、電力会社が買い取っています(FIT制度)。しかし需要と供給のバランスを考えて、電力会社が「出力制御」が必要だと判断した場合、発電事業者はパワーコンディショナからの出力をコントロールして停止したり減らさなければならないのです。このような「出力制御」を行うことで、安定した電力を私たちの元に送り出しています。
出典:資源エネルギー庁「固定価格買取制度の運用見直し等について」
太陽光発電を取り巻く事情
固定買取制度(FIT制度)が開始された平成24年度から、太陽光発電が急激に増加しました。その反面、日射量も多く太陽光発電に適している九州地方では、高い調達価格の権利だけを確保したまま稼動しない案件が多数あります。九州電力は設備認定容量や発電中の設備量のいずれも全国の約4分の1を占めています。そこで平成26年7月末の時点で接続契約申込みが全て接続された場合、再生可能エネルギーの接続量は約1,260万kWに達し、電力の需要と供給のバランスが崩れる可能性が判明しました。九州電力は新規の系統接続の回答を保留にし、この流れは北海道電力、東北電力、四国電力、沖縄電力にも波及して、5つの電力会社管内での新規発電設備の運用は中断となり、お客様も太陽光発電を取り扱う事業者も混乱しました。
再生可能エネルギーの中でも太陽光発電と風力発電は天候によって発電量が決まるので、供給量の調節が出来ません。電気は生活に欠かせないインフラなので、5つの電力会社は安定した電気を届けるために新規の申し込みを中断しましたが、このままでは新しい発電所を作ることが出来ません。そこで再エネ特措法を改正し、出力制御をすることでこの状況を解しました。
出力制御を行うことで、再生エネルギーの接続可能量の枠を増やせるようになったのです。
出力制御ルールの対象
出力制御の対象は以下の通りです。
出典:資源エネルギー庁「固定価格買取制度の運用見直し等について」
東京電力、中部電力、関西電力管内では50kW未満の発電設備に限り出力制御の対象外です。その他の地域は10kw未満でも出力制御の対象となり、出力制御機器の設置が必要となります。
住宅への影響はどのくらい?
出力制御は大容量の発電所、いわゆるメガソーラーが最初に適用されます。そこから中規模の発電所、最後に一般家庭の太陽光が適用されます。住宅の屋根に設置した太陽光が出力制御の対象になる可能性は極めて低いと考えられます。
また、JPEAが発表した資料には九州電力管内の家庭用は2021年頃まで住宅用の出力制御はほぼゼロだという試算が掲載されています。
参考資料:JPEA「出力制御シミュレーション」
対象地域は既に設置したパワーコンディショナを交換する必要があるの?
出力制御ルールが変更後に太陽光発電を設置する発電事業者は電力会社からの求めに応じて「出力制御に必要な機器の設置、及び費用負担その他必要な措置を講じること」が必要となりました。2016年の2月に出力制御の実証事業が終わり、2016年の春以降、各メーカーから出力制御機能付パワーコンディショナが順次販売される見通しです。
出典:太陽光発電協会資料