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これからのFIT制度
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(通称:FIT法)等の一部を改正する法律」が平成28年5月25日に可決・成立し、6月3日に公布されました。前回の記事でお伝えしましたが、電気料金の中に再生可能エネルギー(再エネ賦課金)の買取費用が含まれています。再生可能エネルギーの導入量が増加していくと、比例するように再エネ賦課金といった負担も増加しています。今回のFIT制度の見直しは、再生可能エネルギーを更に導入して活用すること、国民の負担を軽減すること、この2つを両立するのが目的です。
法律の概要は4つ
(1)-1.新認定制度の創設について【確定事項】
再生可能エネルギー発電事業者の事業計画について、系統接続の確保といった実施可能性や内容等を確認し、適切な事業実施が見込まれる場合に経済産業大臣が認定を行う制度を創設します。
新認定制度では電力会社との接続契約の締結が要件の1つになります。一定の猶予期間を設けて、その期間内に電力会社との契約締結ができない場合は、新制度に移行できません。結果的に現行の認定制度で取得した買取価格が失効してしいます。
(1)-2.具体的な流れ【詳細検討中】
①最初に経済産業省が再エネ事業の計画を評価して認定
②「事業認定」を取得した事業者が、電力会社に対し、決められた買取価格・期間での電力購入契約の締結を要求
③「事業認定」の要件は、今後、経済産業省令で具体的に定められることになるが、電力会社との「接続契約の締結」が必須
※工事費の負担金支払いは新認定制度においても、原則として接続契約後1ヶ月以内とします。
参考資料:再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会 出展:資源エネルギー庁
(2)-1.買取価格の決定方法の見直しについて【現在検討中】
設備を認定する現行の認定制度から、発電事業自体を認定する新認定制度に移行します。その目的は、設備認定を得ながら稼働しない滞留案件を一掃することです。
新制度において買取価格の決定は認定取得時としていますが、運転開始まで長期間を要する場合、買取価格設定の際に想定したコストと実コストとの乖離が生じます。
参考資料:再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会 出展:資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー分科会新エネルギー小委員会の資料には、早期の運転開始(実際の発電開始)に向けたインセンティブをFIT制度上設けるといった記載があります。
具体的には一定の合理的な期間内(事業用太陽光では3年、住宅用太陽光で1年)に運転開始することを求め、平成28年8月1日以降に接続契約(工事費負担金契約まで)を締結する案件を対象とするとのことですが、経済産業省からの正式には発表されていません。
現在委員会で出されている案で、運転開始期限を超過した場合の対応は事業用と住宅用で異なります。
(2)-2.事業用太陽光
運開遅延による利益を発生させないよう、期限を過ぎた場合、認定時の価格から買取価格を毎年一定割合(例:年5%)下落させるか、買取期間を短縮させる。系統事由等、個別の事情は考慮しない。
※(買取価格の)入札対象の事業用太陽光については入札参加要件などを定める入札実施指針の議論を経て対応を決定する。
※買取価格の引下げ幅・買取期間の短縮度合い等については、調達価格等算定委員会で議論。
(2)-3.住宅用太陽光
系統事由は発生せず、速やかな運転開始が期待できることから、期限内に運開できない場合は、認定を失効する。
(3)買取義務者の見直し等について【確定事項】
再生可能エネルギー電気の導入拡大と広域での利用を図るため、再生可能エネルギー電気の買取義務者を小売電気事業者から一般送配電事業者に変更します。基本的には一般送配電事業者が買い取った再エネ電気(FIT電気)は卸電力取引市場に出され、市場を介して流通します。ただし、市場経由以外にも、小売電気事業者などに直接、引き渡すというルートも可能とします。
<FIT電源の電気の流れ>【詳細検討中】
参考資料:再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会 出展:資源エネルギー庁
各家庭が負担しているFITにより生じるコストを抑えるために、FITの価格を決める仕組みを変え、競争を通じたコスト低下を促す「入札制」の適用も可能とする仕組みの導入も検討しています。
(4)賦課金減免制度の見直しについて【確定事項:平成28年10月1日施行】
電気を大量に消費する事業所に適用している「賦課金の減免制度」について、減免の要件と額を見直します。事業所ごとに省エネの取り組みなどを確認して、内容に応じて減免率を設定できるようにします。
参考資料:再生可能エネルギー導入促進関連制度改革小委員会 出展:資源エネルギー庁
減免の金額など具体的な内容は現在検討中です。
平成28年度の買取価格を維持するには?
新しい認定制度では、改正後のFIT法の施行予定日(平成29年4月1日)までに電力会社と接続契約を締結していない場合、現行のFIT法に基づく認定が失効してしまいます。
高圧発電所の場合は契約締結まで9ヶ月を要するため平成28年6月30日までに接続の申し込みを行えば、平成29年3月31日までに接続契約を締結できるとされています。また、電力会社との系統入札プロセスに入っている場合はプロセス終了から6ヵ月間の猶予期間内に接続契約を締結すれば、現在の認定を改正後のFIT法の下での認定とみなされます。
住宅の場合は年内に電力会社申し込みを行えば、例年通り翌年3月31日までに接続契約を締結できる見通しですが、提出資料に不備があったり、系統に空きがなく期間が延びたりすると、遅れる場合があります。できるだけ早めに申し込みを行いましょう。また、接続契約の定義は電力会社によって異なります。必ず最寄の電力会社の営業所へ確認しましょう。
不安要素だった増税は今回見送られました。これから太陽光発電付の住宅を建てようと考えている方は、確実に今年度の買取価格を適用できるよう早めに住宅メーカーに相談しましょう。